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上腹部痛の持続、微熱でショックに陥る

2021年7月7日  三輪書店

寺沢秀一 (著)『研修医当直御法度 百例帖第2版』(三輪書店)より転載 Case 68歳、女性 病 歴 3日前からの右上腹部痛と嘔吐で、近医で診てもらっていたがよくならず、その日からひどく痛がりだした。近医で鎮痛薬の注射をしてもらったがよくならないとのことで救急室を受診した。 所 見 血圧120/90、脈拍104/分、呼吸26/分、体温37.8℃。右上腹部に中等度の圧痛があり、球結膜に軽い黄疸あり。腹部エコーで胆石ありとのことで入院となった。 経 過 救急室から病棟に上がる前に解熱目的でボルタレン坐薬が投与された。その後、担当医は抗菌薬の投与の指示を書きにいく予定であったが、救急室で他の患者を診るのに忙しく、4時間が経過した。病棟の看護師から、熱は36.4℃だが血圧70/50に下降したと救急室に電話があった。 ショックの原因は何だと思いますか? 解熱鎮痛薬でマスクされる敗血症性ショック 1 解熱鎮痛薬が敗血症性ショックをわかりにくくする  普通は激しい悪寒、戦慄が15~20分あり、その直後39~40℃の高熱が出現し...