1. m3.comトップ
  2. 臨床ニュース
  3. 増強する下腹部痛、悪寒、発熱

増強する下腹部痛、悪寒、発熱

2021年7月10日  三輪書店

寺沢秀一 (著)『研修医当直御法度 百例帖第2版』(三輪書店)より転載 Case 29歳、女性 病 歴 明け方4時ごろから右下腹部痛を訴え始めた。次第に腹痛が増強し、軽い昼食の後、悪寒がしてきたため近医を受診し、「虫垂炎の穿孔」と言われて午後6時に救急外来へ紹介された。 所 見 血圧120/90、脈拍96/分、呼吸32/分、体温39.1℃、腹痛のため苦悶状態、下腹部全体に著明な圧痛、反跳圧痛を認めた。筋性防御は軽い。 検 査 白血球数:17,000、尿妊娠反応:陰性 経 過 研修医は急性虫垂炎と確信して外科医を呼んだが、コンサルテーションを受けて問診と診察をした外科医は、婦人科医を呼び、結局、婦人科病棟に入院することになった。 急性虫垂炎と鑑別すべき産婦人科の疾患にはどんなものがありますか? 虫垂炎の穿孔と誤診されるPID(骨盤腹膜炎) 1 急性虫垂炎と鑑別すべき産婦人科の疾患 子宮外妊娠破裂、PID(骨盤腹膜炎)、卵巣嚢腫の茎捻転、不全流産、卵巣出血、月経困難症、排卵痛などの婦人科疾患がある。その他、産婦人科以外では、尿管結石、急性胃腸炎、クローン病、盲腸癌の破裂、憩室炎、腸管膜リン...