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腹痛、嘔吐、発熱…なぜありふれた急性虫垂炎の診断が遅れるのか

2021年7月14日  三輪書店

寺沢秀一 (著)『研修医当直御法度 百例帖 第2版』(三輪書店)より転載 Case 31歳、女性(妊娠33週の妊婦) 既 往 特記すべきものなし。 病 歴 腹痛と嘔吐を訴えて、かかりつけの産婦人科医院に入院した。入院後も症状が続くため、翌日、近くの総合病院の外科に紹介された。37.4℃の微熱、白血球数11,000だが、触診と超音波検査で虫垂炎の可能性は考えにくいという結論で、その日のうちに産婦人科医院に帰された。その日の午後8時ごろから激しい腹痛となったが、鎮痛薬を用いて一晩過ごし、翌朝、救急センターに転送された。 経 過 触診で腹部全体に腹膜刺激徴候があり、緊急開腹。虫垂炎の穿孔による汎発性腹膜炎であった。胎児は死亡した。 どうしてありふれた急性虫垂炎の診断が遅れるのでしょう? 虫垂炎が誤診されることの多い患者群 医事訴訟になりかけた症例である。救急センターでは最後に紹介されてくることが多いため、幸運にも「最後に診る名医」になりうるのである。しかし、一次救急も受け入れている救急センターでは、前日に自分が診て帰した患者を再度診せられて、虫垂炎の診断の難しさ、怖さを思い知らされたことは、...