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周期的な臍周囲の腹痛・嘔吐、排ガス・排便なし

2021年7月17日  三輪書店

寺沢秀一 (著)『研修医当直御法度 百例帖 第2版』(三輪書店)より転載 Case 56歳、女性 既 往 7年前の胃切除の手術の後に2回腸閉塞で入院しており、いずれも保存的治療で軽快している。 病 歴 夕食の3時間後から腹痛が始まり、臍周囲で約3~4分の間隔で周期的に痛み、午後11時ごろから嘔吐し始めたため、午前0時に来院した。腹痛が出現してからは排ガスも排便もない。 所 見 意識清明、血圧160/100、脈拍98/分、呼吸32/分、体温37.2℃。腹部は平坦で臍の左に軽い圧痛があるが、筋性防御や反跳圧痛などの腹膜刺激徴候は認められない。腸雑音は亢進しているが金属音ではない。 検 査 X線撮影、ニボー(鏡面像)あり、白血球数9,600 経 過 担当医は3回目の癒着性腸閉塞と診断したが、手術の必要性はないと判断して入院させ、経過観察することにした。ブスコパンを静注しても短時間しか疝痛が軽快しないため、午前2時からは腹痛が強いときはソセゴン30 mgの筋注という指示を出して当直医は眠った。 午前7時30分、血圧が触診で70に低下したと、当直室に電話が入った。 この患者には何が起こっていると...