1. m3.comトップ
  2. 臨床ニュース
  3. 当初、痔の出血と思われた大量の下血

当初、痔の出血と思われた大量の下血

2021年8月4日  三輪書店

寺沢秀一 (著)『研修医当直御法度 百例帖第2版』(三輪書店)より転載 Case 47歳、女性 既 往 以前から痔があって便の周囲に血のつくことがあった。 病 歴 午後1時ごろに、「さっき便がしたくなってトイレへ行ったらサーッと便器に赤い血が出た」と救急外来を受診した。その時、救急室には重症患者が到着したばかりで、医師も看護師も忙しく走り回っていた。患者はしばらく待っていたが、長くかかりそうなので診察室の中に入り、働いている医師を呼び止めて、「痔の出血がちょっとひどいんですが、だいぶ待たないといけませんか?」と聞いた。医師は「重症者が優先だからねえ。でも痔からの出血なら大抵はすぐ止まるのが多いから、明日の外科の外来に来てもいいと思いますよ」と言った。患者は帰宅し、10時間後の翌日午前2時に、トイレからの帰りに倒れたとのことで救急車で運ばれた。 所 見 血圧90/70、脈拍114/分、呼吸/28分、体温36.7℃、顔面蒼白。帰宅してから、5~6回トイレで赤い血液が大量に出たという。 1回目の受診時の医師の対応をどう思いますか? 血便、いつも痔とは限らない このように医師や看護師が重症者で...