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「病気」と呼ぶか呼ばないかは人が勝手に決めている

2021年8月9日  金原出版

岩田健太郎著『HEATAPP!たった5日で臨床の質問力が飛躍的に向上する、すごいレクチャー』(金原出版)より転載 病気かどうかは、 恣意性によって決まる 岩田 発症していない結核は昔は病気じゃなかったんです。でも今は病気です。面白いですね。同じ現象なのに、時代によって病気じゃなかったり、病気だったりするんですね。西暦2000 年以前は、結核菌を吸い込んでいても発症していない人は、保菌者と呼ばれていました。菌を保有しているから保菌者ですね。 ところが、西暦2000年を境にこれに潜在性結核(latent tuberculosis)という病名をつけました。なぜだと思う? これは非常に面白い話で西暦2000 年がどういう年だったかというと、アメリカ合衆国ではエイズ(acquired immune deficiency syndrome:AIDS)が猛威をふるっていた時期でした。エイズはヒト免疫不全ウイルス、human immunodeficiency virus(HIV)が主に血液やセックスによって感染して免疫が弱っていく病気です。1981年にアメリカで発見されました。アメリカのニューヨーク市...