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高齢者の「下痢ぎみ」にだまされるな

2021年8月11日  三輪書店

寺沢秀一 (著)『研修医当直御法度 百例帖第2版』(三輪書店)より転載 Case 79歳、男性 既 往 腰痛で時々近くの整形外科に通院中。 病 歴 気分が悪いとのことで、自宅から臥位のままライトバンに寝かされて救急室に運ばれてきた。 所 見 意識清明、血圧100/70、脈拍96/分、呼吸26/分、体温36.1℃。腹部は触診で左下腹部に軽度の圧痛あり、反跳圧痛や筋性防御は認めない。 検 査 なし 経 過 担当医がいろいろ問診したが、昨日から「下痢ぎみ」ということ以外には異常を聞きだせなかった。身体診察も異常を発見できず、心電図も異常なく、「下痢による脱水?」という疑いでラクテック500を1本輸液され自宅経過観察ということで帰った。2日後の明け方、救急車にて心肺停止状態で運ばれてきた。 この患者には何が起きていたと思いますか? 高齢者の「下痢してます」にご用心 1 便の色など見ない高齢者が多い まさか! と思うかもしれないが、この患者は2回目の来院時に大量のタール便の失禁があり、剖検で胃潰瘍からの出血による死亡と確認された。こんな失敗は自分ならしないと、どの医師も看護師も自信を持って言える...