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新型コロナ呼吸不全に腹臥位が効くメカニズム【時流◆COVID-19と腹臥位ゴロゴロ療法】

2021年9月16日  時流

COVID-19患者の重症化・挿管の予防に効果が期待される「腹臥位ゴロゴロ療法」。みさと健和病院(埼玉県)の救急総合診療科副部長・自治医科大学附属さいたま医療センター集中治療部病院助教(非常勤)の増山智之氏へのインタビュー後編は、腹臥位療法がCOVID-19の呼吸不全・低酸素血症に効くメカニズムなどについて。(まとめ:m3.com編集部・坂口恵、2021年9月3日取材) 腹臥位がなぜ肺保護に効くのか 想定される3つのメカニズム ――腹臥位療法が肺保護に働くメカニズムについて教えていただけますか。 今のところ、肺保護には3つのメカニズムが寄与していると考えられています。一つは腹臥位をとることによって腹側から背側にかけて肺にかかる圧が均質化すること、二つ目は換気血流比(V/Q、肺循環血流量に対する肺胞換気量の割合)のミスマッチとシャント(肺胞内で完全に酸素化されずに肺を通過する血流)の減少による酸素化の改善、三つ目は呼吸ドライブの減少による経肺圧較差の減少です。 一つ目のメカニズムが最も肺障害の抑制に寄与していると考えられています。二つ目のV/Qミスマッチとシャントの減少は、酸素化の改善に...