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新型インフルエンザからがん患者を守れ◆Vol.28

スペシャル企画 2009年7月24日 (金)  成松 宏人(東京大学医科学研究所 先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門 客員研究員)

新型インフルエンザでがんの化学療法ができなくなる懸念 今年春の新型インフルエンザ騒動は、医療関係者に危機管理について課題を突きつけた。2009年5月、関西地区にて献血者数が当初の計画よりも約34%も減少したと報告されている。これは新型インフルエンザの感染の拡大により外出を控える人が増えたことなどが原因だろう。今まで、WHO(世界保健機関)は、新型インフルエンザが大流行した場合の献血者は約25%減少すると見積もっていたが、日本における減少率は大幅にそれを上回った。新型インフルエンザのパンデミックが起こった際には、必要な輸血ができなくなることが以前から懸念されていたが、それが現実化しようとしている。特に血小板輸血の供給への影響は深刻だ。常温で保管するために4日しか保存できず、在庫調整が困難なためだ。血小板輸血ができなければ、血小板輸血を必要とするような化学療法が必要ながんの治療は制限されてしまう。 輸血の病原体不活化技術で保存期間が延長 輸血血液の病原体不活化技術とは、血液を処理し核酸を壊すことによって、ウイルス、細菌、原虫などの病原体を殺す技術だ。この不活化技術は、新型インフルエンザのパ...