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「医療が焦点から外された」、自民・民主のマニフェストを読む◆Vol.6

スペシャル企画 2009年8月12日 (水)  中澤堅次(医療制度研究会理事長・済生会宇都宮病院院長)  

自民党と民主党のマニフェストを見る限り、医療に関しては、表面上ははっきり区別がつかない。具体案が示されていないことによると思う。他の資料を参考にすると、少しは違いに気づくが、残念ながらマニフェストに反映されている部分は、どちらにもやる気はあまり感じられない。医療は争点から外れている感じがする。 民主党のマニフェストには医療介護で年1.6兆円の増加とある。高齢人口の増加に伴い、医療費だけでも年間1兆円の自然増なので、毎年1.6兆円増えたと考えても少し試算が足りないのではと思う。出産子育てに5.5兆円と書いてあるのに比べると、なんともバランスが悪い。 一方、自民党は将来の医療費の見通しをマニフェストに書いていないくらいなので、やる気のほどが分らない。政府の社会保障国民会議は2025年に医療・介護費用は85兆円になると推測しているが、医療政策の柱は相変わらず病床削減、在院日数短縮で、「厚生労働省丸投げ」の構図は変っていない。はっきりした考えはなく、医療介護費用の増加は消費税率引き上げの根拠にしているだけで、社会保障国民会議の方針は党の方針は違うと言っているようにも感じる。 では、医療のことを...