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なぜ新型インフルエンザワクチンを法定接種にしないのか◆Vol.47

スペシャル企画 2009年11月20日 (金)  上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授)

【新型インフルエンザワクチンは国家の危機管理】 11月17日、衆議院の本会議で、「新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法」(以下、新型インフル特措法)案の審議が行われた(法案の内容はこちら)。 長妻昭厚労大臣は、新型インフルエンザワクチン接種の目的は「国家の危機管理として」「重症化予防のために」と説明をした。これらは厚生労働省の医系技官の書いた答弁を読み上げたものだろう。確かに、厚労省が国会に提出した新型インフル特措法第1条にも、「厚生労働大臣が行う新型インフルエンザ予防接種」と謳っており、国策として行うことになっている。 【個人の重症化予防と説明してきた医系技官】 ところが、これまで医系技官たちは、上記とは違う説明をしてきたことを覚えておられるだろうか。 9月4日には、新型インフルエンザワクチンの目的は「死亡者や重症者の発生をできる限り減らすこと」と発表している(9月8日の新型インフルエンザ対策担当課長会議の資料)。つまり、個人の重症化予防を目的としていると掲げたのだ。この時期、厚労省検疫官の木村盛世氏はじめ、多くの人々から、「接種の目的を理解していない」...