1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 「厚労官僚の火遊び」を許すな - 虎の門病院・小松氏

「厚労官僚の火遊び」を許すな - 虎の門病院・小松氏

オピニオン 2010年1月19日 (火)  小松秀樹(虎の門病院泌尿器科部長)

弁明の聴取 佐藤一樹医師への、行政処分を前提とした「弁明の聴取」が近日中に開かれるとの情報が入った(「根拠ない、医師への不当な行政処分に異議あり」を参照)。この「弁明の聴取」は、中世の暗黒を現代にもたらし、医療の存立を脅かす。暗澹たる気分になるとともに、厚労官僚に対する歴史的かつ哲学的な憤りが短時間で意識されるに至った。 佐藤医師は、東京女子医大病院事件で、冤罪のために、90日間逮捕勾留された。7年間の刑事被告人としての生活を強いられた。心臓外科医としてのキャリアを奪われた。昨年、無罪が確定した。この冤罪被害者である佐藤被告に対し、行政処分を実施しようというのである。 検察の論理は援用できない 厚労省に、佐藤医師に対する処分を正当化できるような精度の高い独自の情報があるとは思えない。しかも、公判での検察の主張の一部を援用することには、決定的な問題がある。検察の主張は、科学者の事実に対する態度とは全く異なる。被告人に有利な事実をしばしば隠してきた。福島県立大野病院事件では、自ら作成した調書に墨を塗って読めないようにした。佐藤医師の裁判では、論理が完全に破綻したために、訴因(犯罪であるとす...