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全国初の適用は業務上過失致死傷罪、改正検察審査会法

オピニオン 2010年2月1日 (月)  大磯義一郎(国立がんセンターがん対策情報センター知的財産管理官、医師・弁護士)

2010年1月27日、改正検察審査会法に基づき、いわゆる強制起訴がなされることが決定した。昨年5月21日の改正法施行後、初の適用ケースであり、組織の管理者が業務上過失致死傷罪に問われた点で注目される。本改正により、医療事故の刑事事件化が進むことを懸念する声があり、現実味を帯びてきた。 1.全国初の強制起訴は業務上過失致死傷罪被疑事件 今回、対象となった事件は、2001年7月、兵庫県明石市の歩道橋において、花火大会の見物客が転倒し、11人死亡、247人が重軽傷を負った明石花火大会の歩道橋事故。当時の明石署副署長が、業務上過失致死傷罪で強制起訴された。 なお、この事故では、既に民事では兵庫県、明石市、警備会社に対し、5億6800万円の支払いを命ずる判決が確定しており、また刑事でも市関係者、警察官、警備関係者の計5人が禁固刑に処されている。 2.改正検察審査会法とは 改正検察審査会法は、2009年5月21日に施行された(最高裁のホームページを参照)。そもそも検察審査会は、起訴独占主義(検察のみが公訴提起し得る)を取る我が国において、検察内部等の身内の不祥事について、不当に不起訴処分がなされる...