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「子ども一時金」創設私案、出産育児一時金直接支払制度は廃止 -弁護士・井上氏

オピニオン 2010年3月2日 (火)  井上清成(弁護士)

中小規模の産科医療機関と助産所を廃業の危機にさらした「出産育児一時金等の医療機関等への直接支払制度」は、2009年10月1日実施の直前になって、半年間猶予された(経緯等は、『いまだ残る「2カ月の空白」問題、出産育児一時金の直接支払制度』を参照)。しかし、猶予期限が終わる3月末まで1カ月余りだが、いまだに新たな制度が打ち出される気配はない。このまま4月1日から本格実施されれば、資金繰りに窮する産科医療機関が続出するのが必至だ。 そこでこの制度の問題点を改めて提起するとともに、新たな制度として、「子ども一時金」創設の私案を提言する。 1.出産育児一時金直接支払制度の違法性 出産育児一時金直接支払制度には、憲法や健康保険法に違反する部分があり(さらには消費者契約法違反も)、速やかな廃止が求められる。 (1)法形式 出産育児一時金直接支払制度の法形式は、妊産婦と分娩施設との間の出産育児一時金の代理契約を利用した、非典型担保としての代理受領である。厚労省は法律または省令による強制実施も視野。 (2)健康保険法違反 A:健康保険法第101条違反 「出産した時」に即時に支払われるべきであるにもかかわ...