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厚労省による行政処分者数を激増させる日医委員会答申 - 弁護士・井上氏

オピニオン 2010年3月18日 (木)  井上清成(弁護士)

1.日本医師会 医療事故における責任問題検討委員会答申 3 月10 日、日本医師会の「医療事故における責任問題検討委員会」による「医療事故による死亡に対する責任のあり方について」と題する答申が公表された(『「制裁型の刑事処分から再教育型の行政処分へ」、日医委員会』を参照)。この答申は2009年1月になされた日本医師会会長の諮問に答えたものである。 本委員会は、18人の委員で構成され、うち9人は法律家(大学教授や弁護士)で、1人はマスコミ関係者であった。医療事故死が起きた後の法的責任を整理しようとする試みである。そして、法的責任のうち、特に着目されたのが「行政処分」であった。 2.新しい行政処分勧告システムの導入を答申 答申とその添付資料では(日医のホームページに掲載:PDF 1MB)、現行の行政処分制度に関し、詳しい検討がなされている。特に、刑事判決依存型の行政処分を問題視していた。「刑事責任の後を追って行政処分を行うシステムを改める必要がある」というのである。 検討の中では、「刑事判決依存型の行政処分の運用は、犯罪にはならなくても不法行為になるような医療事故や医師としての品位を損する...