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日本医師会改革の論点 - 虎の門病院・小松氏

オピニオン 2010年3月24日 (水)  小松秀樹(虎の門病院泌尿器科部長)

1.「日本医師会」の理念と立憲主義 理念「人々の健康の維持向上と質の高い医療の公平で継続的な提供、それを可能にするための科学と医師の良心の国家からの擁護と自由な議論の喚起」 理念として、会の目的と医師と国家とのあるべき関係を記載した。理念は、大きな方向を示すのに有用であるが、実情からのフィードバックで検証・修正されなければならない。しかし、実際には、めったなことでは検証・修正されることはなく、しばしば有害になる。災厄を避けるためには、作成時に実情を縛りすぎず、内部に強大な権力を作らないよう留意しなければならない。 医師と国家との関係についての記載は、歴史、すなわち現実の積み重ねについての認識から生まれた。例えば、第二次大戦中、日本を含む幾つかの国で、医学・医療が国家権力による人権侵害の手段になった。日本のハンセン病患者生涯隔離政策は、一部の勇気ある医師や国際学会の反対にもかかわらず、科学的根拠を失った後も、長期間にわたって継続された。新型インフルエンザ騒動では、科学的に不可能とされていた“水際作戦”の強行、意味のない停留措置による人権侵害、PCR検査の制限による国内発生発見の阻害、行政...