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予防接種法改正は誰のため? - 医師・村重氏

オピニオン 2010年4月21日 (水)  村重直子(医師)

新型インフルエンザのワクチンで注目を集めた予防接種法について、厚生労働省が今国会に提出した改正法案(PDF:151KB)は、4月13日参議院で可決され、4月14日から衆議院で審議中です。参議院での投票結果を見ると(参議院のホームページを参照)、どの党でも、あまりにも完璧な党議拘束がかかっており、この国には言論の自由がないのかと改めて実感します。これで、官僚が作った法案の内容を、国会議員が審議したことになってしまうのですから、官僚主導になるのも当然とうなずけます。 予防接種法は、ワクチン接種の対象疾患を一類疾病と二類疾病に分けていますが、「その発生及びまん延を予防することを目的」「個人の発病又はその重症化を防止し、併せてこれによりそのまん延の予防に資することを目的」という区別は、医学的にも現実的にも分けられないものを、机上のロジックで無理に分けているとしか思えません。 厚労官僚は、なぜこんな無理をしてまで、この二つを分けたのでしょうか。実は、この区分が分けているものは、ワクチン接種後の重篤な副反応に対する無過失補償の金額なのです。つまり、厚労省が払う補償金額を下げるために、二類を作ったわ...