1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 医師と弁護士の責任を考える-亀田総合病院・小松氏◆Vol.2

医師と弁護士の責任を考える-亀田総合病院・小松氏◆Vol.2

オピニオン 2010年4月28日 (水)  小松秀樹(亀田総合病院泌尿器科顧問)

人権侵害 調査委員会の報告書は、非科学的な調査に基づいて秘密裏に作成され、その過程で佐藤医師の意見を聞く機会は設けたものの、最終的に反論を述べる機会を与えることなく、佐藤医師に過失があったと結論付けた。報告書の内容の重大性から見て、法律家なら誰でも、人権擁護の観点から手続に問題があると認識できたはずである。オブザーバーとして弁護士が参加していたならば、手続上問題があると助言すべきだった。報告書は遺族に渡され、遺族はメディアに発表した。佐藤医師は遺族に報告書が渡された後、内容を知った。この報告書のために、佐藤医師は諭旨退職(実質上解雇)とされた。心臓外科医としてのキャリアを奪われた。無罪確定までに、逮捕後7年間、刑事被告人としての立場を強いられた。 佐藤医師は、報告書作成・公表の絶対条件として、個別事例の調査を終える前に、当該個別事例に関係する医療関係者から意見を聞く機会を設け、当事者の報告書への不同意・拒否権を担保するとともに、不同意理由を報告書に記載することを挙げている。 4) 佐藤医師に対する人権侵害について、弁護士がどのように関わり、どのように判断したのか興味深い。権力を持った医...