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東京女子医大院内事故調査委員会-亀田総合病院・小松氏◆Vol.3

オピニオン 2010年4月30日 (金)  小松秀樹(亀田総合病院泌尿器科顧問)

弁護士の陥穽 弁護士が、紛争に関連した調査に関わることには、2つの問題がある。 第一の問題は、弁護士が本質的に代理人であることに起因する。代理人は、クライアントの利益に忠実であることが求められる。東京女子医大事件では、東京女子医大と佐藤医師の間に利益相反があった。調査がクライアントの利益にかかわる場合には、判断がクライアントに有利な方向に偏る可能性が高い。 クライアントの利益への忠実度の差が、弁護士の判断を分けたのではないかとの推測される例を挙げる。骨髄移植財団に常務理事として天下った元厚労省キャリア官僚が、セクハラ、パワハラを繰り返し、短期間に大量の職員が退職して紛争に発展した 10)。財団の総務部長は財団の理事長に直訴したが、逆に懲戒解雇になった。財団は、内部調査委員会と外部調査委員会を設置した。財団の常任理事の弁護士が主導した内部調査委員会は、セクハラ、パワハラはなかったとした。財団の依頼で事実関係を調査した外部調査委員会の弁護士は、財団が調査の結論として、セクハラ、パワハラの事実はなかったと発表したことに対し、抗議文を提出し、報酬金約48万円を全額返還した。総務部長が地位確認と...