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医の倫理を法の論理で裁くには限界あり-矢澤昇治・弁護士に聞く◆Vol.1

レポート 2010年5月18日 (火)  橋本佳子(m3.com編集長)

川崎協同病院事件で、最高裁への上告の段階から弁護人となったのが、おおとり総合法律事務所の矢澤昇治弁護士。2009年12月の最高裁判決で、須田セツ子医師の有罪が確定したものの、矢澤氏は、同判決を問題視するとともに、「医の倫理を法の論理で裁くには限界がある」と語る。さらに、「殺意を持って人を死に至らしめた殺人罪と、今回のケースでは全く違う」と問いかけ、次に予想される行政処分における厚生労働省の判断に注目する。矢澤氏に、東京高裁判決、最高裁判決の問題点などをお聞きした(2010年4月5日にインタビュー)。 矢澤昇治(やざわしょうじ)氏 1971年金沢大学法文学部法律学科卒業。熊本大学法学部専任講師などを経て、現在、専修大学法科大学院教授。著著に、『殺人罪に問われた医師-川崎協同病院事件 終末期医療と刑事責任』(現代人文社)、『冤罪はいつまで続くのか』(花伝社)など。 ――先生は、控訴審後、上告する際に、須田先生の弁護を引き受けられています。どんな経緯で依頼を受けたのでしょうか。 私は弁護士の実務に携わると同時に、専修大学法科大学院の教授も務めています。2007年2月末に東京高裁判決が出た当時...