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院内感染の定義すら医療界にコンセンサスなし◆Vol.3

スペシャル企画 2010年9月19日 (日)  司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

「感染制御と感染症診療の概念をきちんと理解しているかなど、医療界は今回の事例を契機に見直す必要があるのではないか」と指摘する安福謙二氏。 ――帝京大学の事例では、「行政庁への報告が遅かった」点も批判されています。 安福 現時点では、多剤耐性アシネトバクターの報告は行政庁からの「お願い」であって、義務ではない。だから、今回を契機に義務にしようか、という動きがあるわけです(『耐性菌のサーベイランス強化で一致、厚労省の意見交換会』を参照)。「行政庁に届け出たら、院内感染を防げる」と言わんばかりの報道も分からない。 ――感染症法で位置づけられている届け出以外の感染症、さらにはどんな院内感染の場合に行政に報告するか、その辺りのコンセンサスは関係者の間で得られているのでしょうか。 森澤 医療事故は医療法に規定されてはいますが、曖昧なところがあって、基本的には各病院の判断です。確かに、医療法では、「不審なことがあれば、届け出る」とありますが、では「どこからが不審で報告するべきか」についての明瞭な定義はなく、なかなか難しいところだと思います。 安福 「疑いがあれば報告する」と言い出すと、医療においては...