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10月15日朝日新聞記事における重大な問題について

オピニオン 2010年10月21日 (木)  大磯義一郎(医師・弁護士)

1.看過できない朝日新聞報道 朝日新聞10月15日朝刊1面及び社会面に大々的に報道されたがんペプチドワクチンの記事は非常に問題のある記事であり、およそ看過することができない人権侵害があった。1999年より始まったマスコミによる医療バッシング記事に、問題のある記事がいくつも存在したことは、m3.comの読者は重々承知していることと思う。第四の権力といわれるマスコミが、その権力性ゆえに腐敗し、減退していくのか、社会の木鐸として機能し続けるのか、マスコミにかかわる者たちの姿勢が問われている。 2.問題点1 本件記事で問題となるのは大きく2点ある。 一つ目としては、朝日新聞10月15日朝刊1面の見出しは、「臨床試験中のがん治療ワクチン「患者が出血」伝えず東大医科研、提供先に」とされ、同1面のリード文は下記の通りであった。 「東京大学医科学研究所(東京都港区)が開発したがんペプチドワクチンの臨床試験をめぐり、医科研付属病院で2008年、被験者に起きた消化管出血が「重篤な有害事象」と院内で報告されていたのに、医科研が同種のペプチドを提供する他の病院に知らせていなかったことがわかった。医科研病院は消...