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医師のピアレビューによる検証が不可欠- 長崎大学医歯薬学総合研究科教授・池田正行氏に聞く◆Vol.3

インタビュー 2011年1月26日 (水)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

裁判にかかわらず、そこで行われた鑑定や証言について、医学的な検証を行うことが、医師の役割であると強調する池田正行氏。 ――被告は、1人の殺人と、患者Aさんを含め、4人の殺人未遂に問われていますが、他のケースも、「筋弛緩剤中毒によるものではない」と説明できるのでしょうか。 はい。5人とも、筋弛緩剤中毒とは全く別の病名、病態で説明できます。つまり、そもそも犯罪が存在しなかったので、「真犯人」はいないというのが僕の結論。実際、5人のいずれの診療録にも、「筋弛緩剤中毒を疑った」との記載は一言もありません。つまり、診療していた医師が全く疑っていなかった病名が、診療していない医師から出てきた。それも文書による鑑定ではなく、法廷での証言のみです。 ――「CareNet」上で2010年秋に、患者Aさんの症例検討を実施したのはなぜでしょうか。 僕が以前から、「CareNet」から神経内科の教育用DVDを出していたのが縁です。僕が意見書を書いたのは、単に感情的に動いているからではなく、この事件は純粋に医学的に問題であると思っているから。それを広く世の中に知ってもらうためです。 知り合いの医師にこの症例を提...