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医療事故に関与した医師への行政処分の最近の動向◆Vol.1

オピニオン 2011年2月14日 (月)  勝又純俊(千葉西総合病院形成外科、日本大学医学部社会医学系法医学分野)

医師に対する行政処分は年2回実施される。前回は2010年9月22日で、厚生労働省医道審議会医道分科会は、医師歯科医師に対する行政処分を公表した。処分された医師は20人、歯科医師は9人であったが、今回の処分では、医療過誤による刑事処分を理由とする被処分者はなかった。医療過誤による刑事処分を理由とする被処分者がゼロだったのは、2004年2月から罰金以上の刑に処せられた医師(歯科医師)の情報が法務省から厚生労働省に提供されるようになってからは初めてのことである。最近の医師(歯科医師)に対する行政処分では、医療過誤による刑事処分を理由とする処分に大きな変化が見られており、この点を検討したい。 筆者は、1985年から2008年までの医道審議会医道分科会による行政処分を調査し、その中から医療事故に関与した医師・歯科医師に対する被処分者を抽出し、その実態を報告している(勝又純俊:医療事故に関与した医師・歯科医師に対する行政処分の最近の状況、犯罪学雑誌76(1)、12-24、2010)。その概要はおよそ以下の通りであった。 1985年から2008年までに、医道審議会で免許取消あるいは医業停止処分とされ...