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「副作用の責任を問う裁判所判断は、医療の否定」

レポート 2011年1月24日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

理事長の嘉山孝正氏(左)と理事長特任補佐の境田正樹氏(右)。 国立がん研究センターは1月24日、緊急記者会見を開き、「イレッサの和解勧告案に対する国立がん研究センターの見解」を公表した。 理事長の嘉山孝正氏は会見の冒頭、イレッサ(一般名:ゲフィニチブ)の副作用の急性肺障害・間質性肺炎で死亡した患者に哀悼の意を表し、「和解勧告そのものを見ていないので、裁判所の詳しい事例の判断は分からないが、コンセプトについての見解を明らかにする」と断った上で、次のように述べた。 「裁判所の判断は、世界に先駆けて販売承認を行ったわが国の安全対策が不十分で、イレッサによる副作用の被害が拡大したと思わせる。この判断は、自然科学を人間に施行しているすべての医療人にとっては、大きな衝撃を与えるものであり、すべての患者にとっても不利益になるものと思わざるを得ない。副作用での不幸な結果の責任を問うという判断は、医療の根本を否定すると危惧する」(嘉山氏)。 イレッサは2002年7月に手術不能または再発非小細胞肺がんの治療薬として世界に先駆けて承認され、8月に薬価収載された。同年10月15日に、厚生労働省は緊急安全性情報...