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救急医療の科学的な進展と“踊り場” - 日本救急医学会代表理事・杉本壽氏に聞く◆Vol.1

インタビュー 2011年2月7日 (月)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

救急医療の危機が叫ばれて久しいが、その“最後の砦”が救命救急センター。従来、日本救急医学会は救命救急センターを活動の場とし、3次救急に重点を置いて取り組んできたが、同学会代表理事・杉本壽氏によると、1次、2次救急体制も含めた救急医療体制の構築、さらには小児科・産科・精神科救急などの連携などが当面の課題だという。 杉本氏は、救急医は「急性病態の総合医」とし、長い医師人生の中で、1年は誰もが救急医療に携わるべきだとする。 臨床面から、その提供体制、専門医のあり方に至るまで、救急医療の現状、そして今後について多角的にお聞きした(2011年1月25日にインタビュー。計3回の連載)。 杉本壽氏は、「机上論ではなく、現場に立脚して社会に提言していくのは、日本救急医学会の重要な役割」と指摘する。 ――まず救急医療の質的な向上のための取り組みをお教えください。 学問的な意味合いでは、救急医療の分野では、急性病態、つまり炎症や外からの侵襲、DIC(播種性血管内凝固症候群)、熱傷、敗血症などに対して生体がどんな反応をするかが一番重要な領域。その病態解析を行い、治療まで持っていくのが課題です。 ――日本救急...