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「もう一つの医療の危機は研究医不足」、東大医学部長◆Vol.4

レポート 2011年3月12日 (土)  橋本佳子(m3.com編集長)

文部科学省の「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会」(座長:安西祐一郎・慶應義塾学事顧問)の第4回会議が3月11日開催され、東京大学医学系研究科長・医学部長の清水孝雄氏は、「もう一つの医療の危機」があると発言、医療費抑制政策や医師不足など医療提供体制に起因する危機のほか、「研究医の不足」に陥っていると警鐘を鳴らし、基礎研究に進む若手医師の減少や基礎関係の教官不足などの現状を紹介した。 清水氏は、「2007年に医学部長になった際に、東大医学部の同窓生の名簿を見て衝撃を受けた。数年間は医学部卒業生で基礎研究に従事する研究者がほとんどゼロの状態が続いていたからだ。東大だけの傾向かと思って調べてみると、阪大、京大、名大、慶應大なども同じような傾向だった」と説明、基礎系の大学院総数は増えているものの、医師の割合は減少しており、1990年前後は全国の医学部大学院入学者に占める医師の割合は約7割だったが、今は3割くらいに減っている。 研究医不足という問題解決のためには大学、学術会議・医学界、国のそれぞれの立場による対応が重要だとした。大学には、(1)大学のミッションに併せた教育改革、(2)実...