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迫られる透析患者の大規模広域移送

スペシャル企画 2011年3月18日 (金)  秋澤忠男(日本透析医学会理事長)

東北地方太平洋沖地震と、引き続く福島原子力発電所からの放射性物質の漏洩などから被災地域からの透析患者の移動・移送が進んでいる。16日には福島市から15人、17日にはいわき市から東京都に約400人、千葉県の亀田総合病院に約50人、新潟市に約170人などが集団移送され、18日も北茨城市から24人が神奈川県に移送されるという。一方、個人レベルでも被災地からの患者移動が進んでおり、山形県では17日までに121人を受け入れたと報告されている。 一般に被災地では透析患者に十分かつ良質な透析医療を供給できない(透析量や透析液の水質は生命予後に密接に関連する)、供給体制が不十分な中、特定の施設に患者が集中し透析用資材・薬剤が不足する、透析医療スタッフに疲労が蓄積し、安全な透析医療の達成が難しい、震災で生じる挫滅症候群のような急性腎障害患者の円滑な治療を維持透析が阻害する、などの事情から震災時には維持透析患者の非被災地域への移動、移送が必要とされる。 社会の助けを得る必要 こうした中、県境を越えた近隣地域への移動が集中すると近隣地域の透析医療にも同様の弊害が生じ、とくに今回のような大規模災害ではその懸念...