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福島県放射線健康リスク管理アドバイザーとして - 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科教授・高村昇氏に聞く◆Vol.1

スペシャル企画 2011年6月9日 (木)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

福島第一原発事故の直後から、福島県の「放射線健康リスク管理アドバイザー」として、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科長の山下俊一氏とともに、福島県民に対する啓発活動を展開してきたのが、同科放射線医療科学専攻国際保健医療福祉分野教授の高村昇氏だ。 国および東京電力からの情報発信が必ずしも適時、的確に行われない中、放射線被曝による健康影響への県民の不安は強い。その不安を払拭するのが高村氏らの役割と言える。啓発活動の現状とともに、どんな姿勢、考え方で取り組んでいるのかをお聞きした(2011年6月5日にインタビュー。計2回の連載)。 高村昇氏は、「防護と健康影響の基準が混同されている」など、放射線をめぐる議論には幾つかの問題点があると指摘する。 ――まずこれまでの活動状況をお教えください。 私は3月17日に長崎を出発、18日に福島に入りました。事故の発生後から、いろいろな報道を見聞きしている中で、福島の住民の方がかなり不安になっていると感じていました。情報が錯綜し、どれが本当の情報かが分からない。テレビや新聞などによる報道があり、それぞれ言っていることが錯綜している。情報源自体、正しく理解している...