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今、一番切実なのは風評被害の問題 - 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科教授・高村昇氏に聞く◆Vol.2

スペシャル企画 2011年6月12日 (日)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

高村昇氏は、福島県での健康調査実施に当たっては、「住民のニーズを踏まえることが第一」と強調する。 ――「科学的に分からない」ことを伝える場合、「分からない」という言葉自体に不安を覚える住民もいると思います。それでも「分からない」ことをそのまま伝えるのか、どのようなスタンスで、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーとして啓発活動をされているのでしょうか。 難しいと思いますが、これはやはり現実を踏まえて話をするしかないと思います。例えば、実際に街に行き、空間線量を測定します。ずっと外にいた場合、100mSvを超えるか。年間積算でも超えないでしょう。100mSvによる健康影響は、あくまで一度に100mSvの放射線を浴びた場合であり、慢性被曝で年間100 mSvに達した場合とでは、影響とは異なります。 例えば、福島市では今、1.6μSv/hくらい。健康影響が出ると証明されているのは、1度に100mSvを超える被曝をした場合です。しかし、福島の方が現に生活している地域は、多くても年間10mSv台でしょう。こうした具体的な事例を出しながら、説明しています。個々の疑問、不安について、科学的な知見を踏...