多様な発がんリスクをどう捉えるか - 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科長・山下俊一氏に聞く◆Vol.2
スペシャル企画
2011年7月1日 (金)
聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)
「情報の不確かさが、住民の不安を招く要因になっている」と山下俊一氏は指摘する。 ――放射線による健康影響については、一般の方に理解されていない、知られていない事実が多い。 そうですね。例えば、ここに10μSv/hの放射線を出す物質があるとします。それがどのくらい体に影響があるかを計算し、イメージで示すと、「一つの細胞に放射線がちょっと触るぐらい」。しかし、そのイメージを持てず、放射線が体を突き抜け、細胞に傷がたくさん付くと思う人が多い。専門家が分かりやすい絵を描いて、説明していかなければいけないと思うのです。 また医師も、無頓着、無防備で、放射線を使ってきたという一面もあります。リスクよりもベネフィットが多いから。つまり、医療においては、放射線を使う理由が正当化されていたわけです。 これに対し、今回、問題になっているのは、全くの被害者だから。全く便益がない。原発事故が収束して、放射線のレベルが下がることが最低限必要。したがって、今のこの状況下で皆が不安、心配に思うのは当然。では、何を心配しているか。一度に大量の被曝をするわけではない。低線量の被曝が続くことにより、将来、発がんのリスクが...
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