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正しいことを言えば通じると考えていた - 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科長・山下俊一氏に聞く◆Vol.5

スペシャル企画 2011年7月12日 (火)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

山下俊一氏は、「国、あるいは専門家などが、社会に対してどう情報発信していくかは、今後の課題」と語る。 ――最近は、東京でも放射線量の測定ポイントを増やすなどの動きがあります。また福島などでは子供に個人線量計を配布して測定するとしています。この意味をどうお考えでしょうか。 それは安心のためでしょう。先ほども言いましたが、数値が一人歩きしていますから、測定しないと皆が納得しない。環境モニタリングを行うと同時に、個人の線量も測定する。これは間違った対応ではないと思います。 ――何かを不安に思うこと自体が、病気のリスクになる。 そうです。ただ、数値の解釈を知らないと、測定することにより、かえって不安になる懸念もあります。また放射線被曝をめぐり、悪徳商法、便乗商法も見られ、私自身、驚いていますが。 ――なぜ情報が正しく伝わらず、安心を求めるのか。 放射線は見えない。分かりにくい。あおられる、皆の口コミで、「危ない」と広がる。「水道水が危ない」となり、ペットボトルの買いだめに走る。集団ヒステリーに近い形で、パニックになる。 そうしたものに対して私たちは無防備だった。「正しいことを言えば、通じる、分...