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大学に名誉を、と言われ慈恵を選ぶ - 慈恵医大熱帯医学教授・嘉糠洋陸氏に聞く◆Vol.2

インタビュー 2011年8月8日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

嘉糠洋陸氏は、「日本の寄生虫学は、サイエンスではなく、疫学をやってきたことが反省点」と指摘する。 ――今回、慈恵医大のポストに手を挙げたのは、どのような経緯からですか。 一つには、僕が仕事を進める上で重視する、ロイヤリティーの問題があります。帯広畜産大学は、北海道大学との獣医学共同教育課程を2012年度から始める予定です。学位は、北大と帯広畜産大学の学長の連名で授与されます。国立大学はもはやこうした時代に入るのかと、自分が現場にいて、非常に許せなかった。「ここはいったい何をするところなのか。何の教育理念を持って、どんな人材を輩出するのか」と。その学位記を見ても、二つの大学の教育理念が分からない。帯広畜産大学は、32歳の僕を教授にしてくれたのだから、「僕に期待してくれている」と忠誠心は持っていた。しかし、北大と共同課程をやるなら、いったいどこに忠誠心を誓えばいいのかと。 ――研究環境としては、帯広畜産大学はどうだったのでしょうか。 研究環境は、よかった。干渉されず、研究費は自分で取ってきますから、問題はありませんでした。しかし、人間は単純で、「あるじ」、「頼れる存在」が欲しいと考えるもの...