基礎研究を「かじりに来る」のは意味ない - 慈恵医大熱帯医学教授・嘉糠洋陸氏に聞く◆Vol.3
インタビュー
2011年8月12日 (金)
橋本佳子(m3.com編集長)
「基礎に進んだり、グローバルに活躍する人材の育成も重要な役割」と嘉糠洋陸氏は話す。 ――ところで、日本で寄生虫関連の研究者はどのくらいいるのでしょうか。 ほとんどの熱帯医学講座は、寄生虫の研究をしています。大半の医学部では、ウイルス学、細菌学の講座が別にあるためです。 ――寄生虫の研究者は増えているのでしょうか。 増えていません。それどころか、全国的に見ると、寄生虫の教室は減らされているのです。ただ、寄生虫学者にも、反省すべき点があります。ウイルス学、細菌学の研究者は、「サイエンス」をやっていますが、寄生虫学者は、サイエンスをやらずに、疫学に走ってしまった。疫学も大事ですが、それは基礎の研究者での仕事ではないでしょう。 ――サイエンスとしての寄生虫学は進展の余地が大きいのに、その重要性に気づく前に、寄生虫学の講座がなくなってしまう懸念がある。 そうです。ただし、サイエンスをやっている講座は生き残っています。だから、僕には使命感があります。 ――先生の教室は何人体制ですか。 教員が5人。僕、准教授、講師、助教。今、欠員が1人。こんな贅沢な体制の熱帯医学講座は珍しいでしょう。大学院生も今後...
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