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「病院丸ごと避難」、当初は全く考えず- 双葉厚生病院院長・重富秀一氏に聞く◆Vol.1

スペシャル企画 2011年8月11日 (木)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

福島第一原発事故では、多くの医療機関が様々な形で被害を受けた。その一つが、福島第一原発から約4kmの場所にある、双葉町の双葉厚生病院。近隣の福島県立大野病院との統合を4月1日に控えた直前、今回の被災に遭い、入院患者全員の緊急避難を迫られた。従来から、原発周辺地域では訓練を重ねてきたが、今回のような事態は想定されていなかったという。「警戒区域」にある双葉町には今もなお、地域住民は戻れず、病院の先行きは見えない。 事故当時や避難の状況、職員の現状や福島県浜通り地域の医療のあり方などについて、双葉厚生病院院長の重富秀一氏にお聞きした(2011年8月3日にインタビュー。計5回の連載)。 ――原発事故前、どんな訓練をされていたのでしょうか。 重富秀一氏は、「初期被曝医療機関は、その場にとどまって治療ができるのが前提。事故で、『病院丸ごと避難する』事態は全く考えていなかった」と話す。 福島県と、原子力発電所立地町村では、原子力災害対策計画に基づき、原子力災害発生時を想定した防災訓練を実施しています。関係各所の連絡体制の確認、オフサイトセンターや現地対策本部の運営、住民の避難などです。これとは別に、...