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原点に返った医師法21条の再論考を

オピニオン 2011年10月26日 (水)  佐藤一樹(いつき会 ハートクリニック院長)  

「診療関連死」ならば「異状死体届出」ではない 診療関連の死亡事故が発生したからといって、医師が警察署に届け出する義務はない。死体の外表検査で異状を認めた場合に限り、届出義務がある。その根拠は、医師法第21条の条文と都立広尾病院届出義務違反事件の最高裁判決にある。第21条[異状死体等の届出義務]は、第33条2項に処罰規定がある「刑罰法規」である。刑法に準ずるのであるから、類推解釈は禁止され、拡張解釈は巌に慎むべきである。「医師は、死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない」。条文は平坦な文で、「検案」の意味さえ分かれば明確に文理解釈できる。 この21条にいう検案の意義に正面から向き合って判断を示した裁判例は、広尾病院事件以外に見当たらない。この最高裁判決要旨は、「医師法第21条にいう死体の『検案』とは、医師が死因等を判定するために死体の外表を検査すること(下線筆者)をいい、当該死体が自己の診療していた患者のものであるか否かを問わないと解するのが相当であり、これと同旨の原判断は正当として是認できる」。従って、冒頭で述べた...