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「異状死」の定義は要らない

オピニオン 2011年11月18日 (金)  佐藤一樹(いつき会 ハートクリニック院長)

医師法21条-「異状死」の法律ではない 【法医学○×クイズ】 問題「(医師法)第21条では、異状死の場合は所轄警察署に届け出ることを義務づけている」(海堂尊著『死因不明社会』202ページ)。 正解=×。 (解説)完全な誤り。同著者が主張する通り、「死因不明社会」は医師主導で改善していくべき問題である。しかし、そもそも医師法には「異状死」の文言はない。21条は医師法「第四章 業務」に属する死体検案業務に関する条文であり、異状死という概念を規定したり定義するものではない。「医師は、死体または妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない」と記載されている([異状死体等の届出義務])。 しかし、臨床医にとって悪名高き日本法医学会「異状死ガイドライン」(1994年5月作成)は、21条にありもしない「異状死」を独自に定義し、勝手に「異状死の場合は警察届出」をミスリードした。厳密であるべき刑罰法規を変質させて、法律に疎い我々医師の頭に刷り込みをした。我々はリセットしなくてはならない。警察に届出するべきは、検案すなわち外表検査して異状を認める...