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「津波で全壊」、病院復興への軌跡を語る

スペシャル企画 2011年12月13日 (火)  橋本佳子(m3.com編集長)

「本当に何もなくなった。病院、商店、市役所など、それまで見えていた建物がすべてなくなっていた。病院から避難所までヘリコプターで運ばれた時に、市内を見て呆然とした。こんなひどい状況なのかと……。私自身、ギリギリのところで屋上に避難したが、あと10秒遅かったら危なく、1分遅れれば完全にアウトで、私はここに立っていなかっただろう」 県立高田病院に押し寄せる津波。手前に見えるのは、2階の手術棟の屋上。津波は、午後3時27分に「高田松原」を超え、午後3時28分には病院の手前まで押し寄せ、午後3時29分には津波に飲み込まれてしまった(写真提供:岩手県立高田病院)。 12月10日に東京都内で開催されたNPO法人医療制度研究会の講演会で、こう語り始めたのは、岩手県立高田病院(70床)の院長を務める、石木幹人氏。3月11日の東日本大震災から早や9カ月。「高田松原」の防潮林、そして津波を受けても奇跡的に残った一本松で有名な陸前高田市にある同病院は、4階建ての4階部分の1.5mくらいまで津波が押し寄せた。病院建物は壊滅的な被害を受け、患者や職員にも犠牲者が出た震災当日の様子を、石木氏は、昨日のことのように鮮...