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子持ち産婦人科女医・当直民事訴訟奮闘記◆Vol.2

オピニオン 2012年1月24日 (火)  野村麻実(愛知県在住、産婦人科医)

労働基準法はこのような文章で始まります。 「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。(第1章第1条第1項)」 また民法では、「事業者が(略)労務の管理にあたって、労働者の生命および健康などを危険から保護するよう配慮する義務(民法第415条)」ともされています。 今でこそ勤務医の長時間労働による過労死は話題に上がるようになりましたが、多くの先生方も、過労による「自殺」や「突然死」を、同僚や先輩、研修医、部下など身近にたくさん経験されてきたことでしょう。 私はその原因が「当直」という制度に起因するものと思っていました。なぜなら、当直時間は法的に「労働時間」とはみなされないからです。厚労省労働基準局監督課が2005年4月に出した資料「医師の宿日直勤務と労働基準法」(厚労省のホームページ)を見てみましょう。「宿日直勤務者については、労働基準監督署長の許可を得た場合には、労働基準法上の労働時間、休憩、休日に関する規定は適用が除外される」とあります。労働時間から除外されるからこそ、病院は民法の定める「安全配慮義務」のうち「適正な労働時間管理」から逃...