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“医療崩壊”の原因、医師不足にあらず - 菊地臣一・福島県立医科大学学長に聞く◆Vol.1

スペシャル企画 2012年3月7日 (水)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

いまだ福島第一原発事故の影響が続く福島県。医師など医療者の流出も続く厳しい現状にありながらも、福島県立医科大学は、「福島医大復興ビジョン」を掲げ、県全体の地域医療や大学の復興、再生に挑む。この4月からに、新たに医師10人程度を採用し、「災害医療講座」を発足させるほか、大学内に復興事業推進本部を立ち上げ、ビジョン実現に向け、本格稼働する。 学長を務める菊地臣一氏に、福島県の医療や大学の現状や課題、今後の展開などについてお聞きした(2012年2月27日にインタビュー。計3回の連載)。 ――まず福島県の医療の復旧・復興状況を、先生ご自身がどのように捉えておられるかをお聞かせください。 福島第一原発事故に伴い、今回起きている問題は、医師不足ではなく、“医療崩壊”。宮城や岩手、茨城の被害は地震と津波によるものであり、これらが過ぎ去れば元の場所に戻ることが可能ですが、福島の場合は戻れない。特に、20km圏内は。元の場所に戻れるよう復旧作業が始まっていますが、現実問題としては医療だけでなく、生活のインフラがすべて壊れてしまっています。したがって、「復旧」など、口で言うほど簡単ではなく、また「復旧」し...