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政府の初動の遅れが“人災”を生む- 小川彰・岩手医科大学学長に聞く◆Vol.3

2012年3月24日 (土)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――岩手県や市町村の復興計画の作成、実行状況は。 岩手県は昨年8月に、「岩手県東日本大震災津波復興計画」を策定しました。住民が戻らないと、医療は再生できません。どんな町が再生されるかで、住民が戻るかどうかが決まる。しかし、今の国が一番悪いのは、地方自治体に計画を出すように言うものの、お金をいったいいくら出してくれるかが分からないこと。岩手県のようにリアス式海岸の地域は、町全体を高所移転しようとしても、高台の平地は既に使われている。山を削って高台に平地を作る以外に方法はない。今の地方自治体にそんなお金があるわけではない。国が、「あなたの町には、これくらいの予算を付ける」といったガイドラインを提示しないと、計画も作成できない。 首長さんたちも困っています。住民は元の町に住みたいと言う。中には、「平地に戻りたい」という人もいる。しかし、必ずまた災害が起こる。スーパー堤防を作っても、解決にはならない。田老町の高さ10m、しかも二重の防潮堤は津波災害の最後の砦と言われ、全世界から視察に来た。にもかかわらず、30mを超す津波が来た。 「大学と連携した組織作りを日ごろからやっていかないと、災害対応は...