1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 指導・監査・処分の「3つの不幸」◆Vol.2

指導・監査・処分の「3つの不幸」◆Vol.2

オピニオン 2012年4月11日 (水)  石川善一(弁護士)

4.3つの不幸の根底にあるもの 筆者は、溝部訴訟を遂行する過程で、前記1、2の不幸を知り、本件各取消処分との間に関係性があることは、直感的には分かりながらも、まさに「間抜け」なことに、その関係を明確に説明できないでいた(いわば3つの不幸の関係を証明する「補助線」を引けないでいた)。 しかし、その解(補助線)は、溝部訴訟における国の控訴理由書の中の下記の根本的主張(プラス、その結果当然に生ずる保険医の「恐怖」)にあった。 甲府地裁判決は、裁量権逸脱の判断をする前提として、「処分理由となった行為の態様、利得の有無とその金額、頻度、動機、他に取りうる措置がなかったかどうか等を勘案して、違反行為の内容に比してその処分が社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合には、裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものとして違法となると解するのが相当である」という比例原則に沿った判断基準を示した。 国は、これを不服とする理由として、「健康保険法80条、81条は、(1)保険医療機関又は保険医に療養担当規則等に違反する事実があったかどうか、(2)その違反事実に照らし、当該保険医療機関又は保険医が・・...