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  3. 指導・監査・処分の「3つの不幸」◆Vol.3

指導・監査・処分の「3つの不幸」◆Vol.3

オピニオン 2012年4月18日 (水)  石川善一(弁護士)

7.健康保険法改正(規定)の両面 憲法31条は、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」と定めている。多数の学説は、その「法律」は「適正な法律」でなければならならず、かつ「手続」のみならず「実体」も同様であって、その趣旨は、「刑罰」のみならず「行政上の不利益処分」にも及ぶべきであると解している。したがって、保険医等に対する取消処分について定める健康保険法も、次のような両面の改正が必要である。 (1)適正な実体規定への改正(病理現象の原因最小化) ここで実体規定というのは、取消処分の要件を定める規定のことである。健康保険法80条と81条は、取消処分の要件を全く限定せずに、極めて広範なもの(厚生労働省令違反)にしている。このことが、前記のような病理現象を生じさせる原因となっている。 筆者が考える「適正な実体規定」とは、不利益処分(取消処分)の要件が、同処分による不利益の重大性に比例した違反内容その他諸事情の悪質性がある場合に限定されているものである。 行政庁の裁量権の逸脱・濫用がされないように、取消処分の要件=行政庁(担当官)...