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機構と保険会社だけが利益を得る制度 - 池下久弥・産科中小施設研究会世話人に聞く◆Vol.3

インタビュー 2012年5月23日 (水)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――当初年間800人程度を補償の対象にする想定で、制度設計されました。しかし、実際にはそこまで対象者がいません。 初年度の2009年度で、2011年12月末までに請求されたのは177人、うち158人が認定され、対象外は10人、再申請可能8人、継続審議1人となっています。 補償原資のうち300人相当分までの補償費用は、保険会社に入る仕組みになっています。補償請求は満5歳の誕生日まで可能ですが、2009年度分について、このまま補償対象者があまり増えず、200人程度にとどまると仮定します。つまり、100人分×3000万円、 30億円は保険会社の利益になります。そもそも事務手数料として保険会社に対し、2011年の場合は年間33億円支払っています。 一方、300人を超える分の余剰金は、運営組織、つまり日本医療機能評価機構に入り、「産科医療補償制度のために限定して使用する」とされています。さらに損害賠償が確定すれば、補償費用の1人当たり3000万円は機構に戻ります。このほか、機構の事務手数料は年間約2億7000万円が充てられており、先ほども言いましたが、厚労省の補助金が年8000万円です。 201...