1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 「無過失だけ補償制度」、産科医療補償制度を批判

「無過失だけ補償制度」、産科医療補償制度を批判

レポート 2012年5月14日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

5月12日に開催されたNPO法人医療制度研究会の講演会「障害の補償か過失の判定か、産科医療補償制度の本質を議論する」で、井上法律事務所の井上清成氏が「産科医療補償制度は私的制裁であり私的裁判である―医療事故調の誤った実際例」、池下レディースチャイルドクリニック院長の池下久弥氏が「本制度のために産科医療が崩壊する―現場の声」と題してそれぞれ講演。また東京都助産師会専務理事を務めていた松が丘助産院の宗祥子氏が指定発言した。弁護士、産婦人科医、助産師それぞれの立場から、3人は異口同音に現行の産科医療補償制度の問題点を指摘、制度改正の必要性を訴えた。 特に池下氏の発言に対し、フロアから、産科医療補償制度の運営委員会副委員長を務める昭和大学産婦人科主任教授の岡井崇氏が反論する場面もあり、講演会は興味深い展開となった。 “医療事故調”議論との関連に注目 「産科医療補償制度は、『無過失補償制度』ではなく、『無過失だけ補償制度』」 こう興味深い形容をしたのは井上氏。「同制度が責任追及を目的としていたかどうかが問題ではなく、責任追及という結果が現に生じてしまっており、私的制裁の結果をもたらしている」と批...