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論文ねつ造の多さ「不可解」- 日本麻酔科学会理事・澄川耕二氏に聞く◆Vol.1

インタビュー 2012年9月20日 (木)  聞き手・まとめ:池田宏之(m3.com編集部)

一般紙に今夏、大々的に報じられた東邦大学の元准教授による論文ねつ造問題。日本麻酔科学会は調査特別委員会を設置し、今年6月に172本の論文を「ねつ造」とする報告書を提出、8月末には「永久に再入会を認めない」とする処分を下した(報告書は、同学会のホームページに掲載)。発覚の経緯や長年にわたり元准教授がねつ造論文を発表し続けた原因などについて、調査委員会の委員長を務めた学会の常務理事で、長崎大学麻酔学教室教授の澄川耕二氏に話を聞いた(2012年9月14日にインタビュー。計2回の連載)。 ――まず今回の発覚の経緯を教えてください。 2011年7月に、元准教授が当時所属していた東邦大学に対して、「Clinical Therapeutics」などの海外ジャーナル5誌に提出した9本の論文について、これら5誌から、「ねつ造ではないか」という調査依頼が来ました。同大は内部調査を実施し、8本について、「施設内の倫理委員会を経て実施していない」との理由で、「諭旨免職」としました。その後、「Anaesthesia」が、元准教授の論文のデータについて、統計学的アプローチで調べたところ、100万回に1回にしか発生...