共著者がねつ造阻止できたはず -日本麻酔科学会理事・澄川耕二氏に聞く◆Vol.2
インタビュー
2012年9月26日 (水)
聞き手・まとめ:池田宏之(m3.com編集部)
――19年間もねつ造は放置されました。 調査していて気付いたのですが、元准教授の周辺の人は、施設の実態などを考えると、「あり得ない数の論文を書いている」という話になっていたようです。ただ、周辺の人には、証拠を示して告発する義務もないし、自分にかかわりがないので放置したということではないでしょうか。そもそも通報の窓口がなく、直接不利益こうむっていなければ、「またやっているな」という感じになるのだと思います。 ――論文の査読で、気づかないものですか。 元准教授のいた病院の実態を知らない限り、論文を単独で読んでも、ねつ造とは分からないと思います。そもそも、ほとんどの論文には、対象となった期間と、データを取った施設について書かれていません。その場合、「前のアルバイト先でデータを得た」などという言い訳が可能になり、追及が難しくなる側面があります。 澄川耕二氏は、「医学論文は、研究に携わらなくても名前が載る場合がある」と明かす。 ――「対象期間」や「施設」を書かなくても、論文は成立する。 一般常識としては書きますが、書いていなくても、論文を受けるジャーナル側が問題視するかどうかにかかっています。仮...
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