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「延命治療大国、日本」へのアンチテーゼ

インタビュー 2012年10月19日 (金)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

「胃ろう、抗がん剤、延命治療 いつやめますか?」。表紙には、一般読者へのメッセージとも、また医療者への挑戦状とも受け取れる言葉が並ぶ、『「平穏死」10の条件』(ブックマン社)。今年7月末の上梓から約2カ月で、約10万部も売れたベストセラー。著者は、兵庫県尼崎市で在宅医療に取り組む、長尾クリニック院長の長尾和宏氏だ。 「平穏死という社会現象を起こしたい」。こう語る長尾氏に、執筆の経緯や本書に込めた思いなどをお聞きした(2012年10月6日にインタビュー)。 ――この本を上梓された背景をお教えください。 2011年11月に日本尊厳死協会関西支部で私が「平穏死の条件」というテーマで講演したのが直接的なきっかけですが、私は大学4年の時に「尊厳死」という言葉に出会い、勉強会を重ねていました。勤務医を経て、尼崎市で開業したのは1995年。病院での延命治療に疑問を持っており、尊厳死の大切さを感じ、開業当初から在宅医療に取り組んできました。在宅で看取った患者さんはこれまで500人以上、勤務医時代も合わせると1000人以上に上ります。 「死」を考えることは、「生」を考えることと同義であり、私のライフワー...