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日本人は死生観を失い“医療崩壊”を招いた 中村仁一氏に聞く◆Vol.2

インタビュー 2012年11月15日 (木)  聞き手・まとめ:島田 昇(m3.com編集部)

――「自然死」を勧める持論は、ご自身の死生観に寄るところも大きいと想像しますが、死生観の形成に大きく影響を受けたエピソードがあれば教えてください。 父の“死にっぷり”には、多大な影響を受けました。 「父の壮絶な死が自身の死生観の形成に多大な影響を受けた」と語る医師の中村仁一氏 父は私が高校生の時に切迫心筋梗塞で死にました。死ぬまでの半年間、週に1、2回の頻度で脂汗を流しながら、激痛を伴う発作を繰り返し続けました。それでも休まずに鍼の仕事をし、最期の日も休むことなく仕事をこなし、わたしの目の前で胸を掻きむしって悶え苦しみ、脱糞・失禁して朽ち果てました。父の死を悲しむより先に、弱音も吐かず、愚痴1つこぼさず、過酷な運命を全うし、最期の苦しみにも耐え抜いた父の精神力に驚きました。 父は、不幸にも受診した眼科医が目薬と劇薬を間違えられ、20歳の時に失明しました。以後、想像を絶する苦労を重ねて生きてきたようで、何度か自殺を考えたこともあったようです。それでも生き抜き、最期も激烈な苦しみに耐え切れたのは、「自分の運命は、自分で引き受けるしかない」ということを、自身の苦しみの半生を通じて、骨身に染み...