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「DNA情報での中絶是非、議論を」- 玉井邦夫・日本ダウン症協会理事長に聞く

インタビュー 2012年11月2日 (金)  聞き手・まとめ:池田宏之(m3.com編集部)

今年8月末、一般紙でも「確度の高い診断」として、大きく報じられた血液による出生前診断。日本産科婦人科学会が、11月にダウン症関連団体を招いたシンポジウムを開き、今年12月までに、検査の対象やカウンセリングの在り方に関する学会指針をまとめる方針となっている。出生前診断への見解を、臨床心理士で、大正大学の教授である玉井邦夫・日本ダウン症協会(JDS)理事長に聞いた(2012年10月21日にインタビュー)。 ――血液による出生前診断について、どのような見解をお持ちですか。 出生前診断については、次々と新しい技術が出てきていますが、技術の進歩が「悪」という見解は持っていません。必要とする人がいることも分かります。ただ、母体の血液採取は出生前診断でなくても必ずやるので、通常の妊娠における健康管理と境目がなくなり、実質的な「マススクリーニング」に近づく危険性があります。したがって、「安全」「簡単」として、福音のような扱いをして良いのか疑問です。むしろ、無防備な状態で、とんでもない結論に直面させられる人たちが増えてくると思います。日本産科婦人科学会は「安易な実施をすべきでない」としていますが、当然の...